omokage
草野春心



  翼をゆるされたとき
  わたしたちに空はなかった
  あおい 哀しみのかたまりが
  遠い 海のうえに浮かぶだけで
    

  いつか わたしたちの何もかもが
  優しげなような面影に変わって
  暗闇のなかに閃くのだろうか
  そのときは飛べるだろうか
  羽ばたけるだろうか
  わたしたちは


  あおい 海のむこうを
  きょうは 日がしずむまで
  みつめていたい あなたたちと
  抱きしめるように みつめていたい
  本当はもう ここには居ない
  あなたたちと



自由詩 omokage Copyright 草野春心 2015-12-19 21:12:39
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