白い世界
ヒヤシンス
私の机上で白バラが咲いている。
窓の外では白い雪が降る。
壁に掛かる絵画には白鷺が息づいている。
この世は白いと初めて感じる。
透明だと感じていたものが全て白になる。
娘が思春期を迎えようとしている。
彼女がポツリとつぶやく。
サンタさんって本当はお父さんなんでしょ。
これが最後になるかもしれないと思いつつ、
精一杯の優しさと愛おしさで娘を抱きしめる。
彼女の静かな吐息が白く目覚めるようだ。
この世の全てを白く染めたい。
純白のキャンバスに娘は色を重ねてゆくのだろう。
あと少し、ほんの少しこのままで、白いままでと願う。