ノイズ
ヒヤシンス
何代も受け継がれたレコードプレイヤーからのノイズが心地良い。
今夜はクラシックでもジャズでもない。
忘れ去られようとしている昔のレゲエのレコードが深く響く。
今夜私は二十年前にタイムスリップしている。
青春を引きずったまま社会人になった私が行き辛さを感じていた頃だ。
早世したミュージシャンに憧れてその場しのぎの生活に飽き飽きしていた。
今私は彼や彼女たちより長く生きている。
死ぬことも難しいが生きることはそれ以上だと叫びたかった。
認められることを渇望していた。
誰かに寄り添って生きてゆきたいと甘えていたんだ。
結局は一人で生きていくしかなかったのだけれど。
人生の半分を悩み、耐え忍び、生きてきた。
今夜は特に私より年上のレコードプレイヤーのノイズが心地良い。
どんな時でも私の頭の中ではあの頃のノイズが流れているのだ。