露呈
たけし

眼が在り眼と映り凝視し続ける眼に
昔の戦場の消えない殺し合いか今の子供らの激しい絡み合いか
展開される焼き付けられるその恐怖
草むらの草熱れも左足にぐるぐる巻かれた包帯の中で腐乱していく肉も置き去りにして虚空の孤立した氷塊に貼り付く

微睡んでいた魂の裸体と死んだ魂の遺体
交錯し遠く疎隔しながらその脳髄を一瞬燃え上がった黒い火炎に巻き込み

お前は何を見た?何をしていた?俺は見たぞスベテ観たぞ

凝視はしかしその強い意志表示にまで到達する力を得ずに突如の衰退虚脱
惚けて只虚ろに顔を強張らせ
その痩せて浮き出た頬骨コツンコツンと松葉杖に打ち付け炎の消
高らかに天に舞い上がった雌狐小悪魔の嘲笑
その義眼に亀裂入れ青ざめ怯え後退口角泡を飛ばし

ただの頭のおかしいお爺さんだから大丈夫

女子供の宙に浮いた声
男子供は本当の恐怖の在り処を知る


自由詩 露呈 Copyright たけし 2015-12-17 16:00:26
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