夜の想い
レタス

アイナメと若鮎の甘さは妻の味

すき焼きに染みこむネギに舌打つ

豚汁に浮かぶ脂の美味さ

出刃を研ぎ石鯛狙う

シロギスの透明を如何に料理せむ

ふつふつと湧き上がるサザエかな

ハマグリの真白き汁を待つ春を

深海に繋がれた貝の孤独

味噌煮込み我が命を養う

寿司握る職人の美しい指先

焼き鳥の煙りに誘われて失望を重ねる

カジキの大トロ明日の夕餉は照焼に

柚薫る水炊きの湯気を前に妻が頬笑む

分厚い銅鍋買い込み妻の雷が飛ぶ

義父の残した柳刃はさくりと刺身を裂くつわもの

塩辛い紅鮭をお茶漬けに喜ぶ余韻

コルドンブルーが好きだった友の面影追いながら

家系のラーメンにタマネギ・ニンニク営業は無理だった

リゲルの想い今は微かに寿命を延ばす

アルテミス女性の象徴は変わらず

半獣神のパンの笛心を癒やす

深海に沈んだ大和の舳先に菊の紋

我が国の特攻がISを走らせる

大陸の血が流れるのに争うのは何故か

疲れた今日を引っ提げて今夜は眠りにつく










俳句 夜の想い Copyright レタス 2015-12-16 20:13:18
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