トモダチ
Lucy



壁の向こうで
雨が歌う
今夜
雨は涙とちかしく壁に染み入る優しさで
噂の流星はみえずじまい
空のステージに
始まるはずだった
ピアノに向かって
私のためにとは
言わないけれど
聞きたいと言えば
弾いてくれた
独りで聞くなんて贅沢だねと
笑いながら拍手した

アンコールはない
ショーはおしまい
とてつもなく絶望的で
暗い世界の情勢について
二人でずっとしゃべってた

笑ったり
感心したり
驚いたりしながら
私より物知りな
そして私より賢くて
強い君の言葉を
信じて
君の怒りや
虚しさや
優しさやなんかを
目の奥に見つめて

それだけ
疚しいことなんて何もない

トモダチなんだもの
誰より大切な
そんな狡い言葉に
逃がして

心の深い闇の底で
繋がっていると
思い込み続けたかったんだ


さよならは
いえない
ただのトモダチだから


さよなら





自由詩 トモダチ Copyright Lucy 2015-12-16 12:39:29
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