青蛾
レタス

どうしても人には言えないことがあって

どうしても人には言葉にできないことがあって

ただ冬の林の中で落ち葉を踏みしめるだけしかないことがある

枯れ葉を一枚手に取って
溜息を吐き
そっと温かな息を吹き付ける

蘇ることはない
それでも
何処かに蘇生はないかと
歩き巡り
真冬の命をさがす

闇が訪れ
太いクヌギの幹に
真夏の夜中に見た
青白い大きな蛾が静かに羽を広げていた

錯覚か…

残像か…

触れようともそれには
ふれてしまうことはできないでいる

命を亡くしてしまう予感


自由詩 青蛾 Copyright レタス 2015-12-15 17:18:01
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