だだっこ。
梓ゆい

「家に帰りたい。」と譲らなかった時
もうすぐ死ぬ事が解かっていたのでしょうね。

「譲らなかった。」と言うよりも
最後の抵抗にも見えました。

「ここは俺の家だ!!」と
取り上げられるのを恐れるかのように。

食事を囲んだ回数は
すでに数え切ってしまったのに
電話をした回数は
何処まで数えたら良いのかが解かりません・・・・。

番号とメールアドレスは残してあります。
きまぐれに呼び出し音が掛かるかも知れないと
期待をしているから。

「家に帰りたい。炊き立てのご飯が食べたい。」
もう誰も
その一言を制したりしませんから。


自由詩 だだっこ。 Copyright 梓ゆい 2015-12-09 04:29:44
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