風景画
鷲田

風が文句を言う。だから僕は頷く。若しくは日常語だけを話し、沈黙を忘れる。太陽は感情を曲げないで一直線に走る。だから僕は座る。若しくは歩みを止めて、目的地を捨てる。雨は時刻を知らせる。一秒毎に100粒の滴が地面に落ちる。水面は地面に嫉妬する。波を揺らしながら、水たまりを支配しようと試みる。宇宙は思い出す。だから私も物思いに耽る。目を閉じると光色。対話は星とする。星は輝く。応える。胡座をかぎ、眺めている。街は目覚める。そして良く眠る。鳥が12時の針に併せて南の雲の下を飛べば、今度は私が再び眠る。

風景画は矛盾を主張している。客体が主体に降伏したのに。無条件に。降伏日の日付が固定される。額縁に彩られ、鑑賞される。そして、物体として形を作る。


自由詩 風景画 Copyright 鷲田 2015-12-08 22:58:05
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