鷲田

それは突然に来る 音がする
ヒタヒタと迫りくる
晴天が急に曇り、突然降る

人は剥き出しだ 傘もささずに

12月の初めの風 南に向かって
匂う道 曲がる季節

今日の天気 晴れのち雨
曇りはどこにあるのか 空の沈黙は

人が歩くよ 人が急ぐよ
感じるよ 話すよ 動いているよ
街を見渡せば

人が動くのを辞めたよ 人が話すのを辞めたよ 
感じるのも 急ぐのも 歩くのも
どこかの個室

今日の午後は雨 
来た やっぱり来た
脳天に 腕に 靴の上に 雨粒が

見渡せば 粒が溢れた世界
ポツリ ポツリ ポツリと溢れ出て
道には大きな水たまり
自然は本能に咽び泣いている

今日の午後 午後の4時
感じていますか
感じられますか 
雨の音を
雨の感情を
滲んだ洋服の触感を

動いている人よ 動くのを辞めた人よ
街の中 どこかの個室
透明な窓は景色を忘却し
世界は幾つもの雨の筋


自由詩Copyright 鷲田 2015-12-07 23:22:55
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