焼き鳥屋さんの詩


寒い冬の夜に
赤い提灯と屋台の車
そこにおじさんひとり。
マンションに囲まれた
住宅地に赤い光と屋台と煙
香ばしい甘い焼き鳥の匂いと
屋台から流れるラジオの音

"いらっしゃい"

私は皮と砂肝とねぎまを買う
お婆ちゃんとお爺ちゃんの分も。
ニコニコ笑いながら
"今日は寒いね"と焼き鳥を焼く
"そうですね"と
おじさんの焼き鳥を焼く姿を
みる私。
優しい沈黙が続く
"ありがとね"と笑顔で
焼き鳥を私に渡してくれた。
タッパーに入れてビニールに入れて。

家に帰って焼き鳥みたら
一本おまけしてくれてた

そんな寒い
ある冬の夜のできごと



自由詩 焼き鳥屋さんの詩 Copyright  2015-12-06 09:54:05
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