焼き鳥屋さんの詩
枝
寒い冬の夜に
赤い提灯と屋台の車
そこにおじさんひとり。
マンションに囲まれた
住宅地に赤い光と屋台と煙
香ばしい甘い焼き鳥の匂いと
屋台から流れるラジオの音
"いらっしゃい"
私は皮と砂肝とねぎまを買う
お婆ちゃんとお爺ちゃんの分も。
ニコニコ笑いながら
"今日は寒いね"と焼き鳥を焼く
"そうですね"と
おじさんの焼き鳥を焼く姿を
みる私。
優しい沈黙が続く
"ありがとね"と笑顔で
焼き鳥を私に渡してくれた。
タッパーに入れてビニールに入れて。
家に帰って焼き鳥みたら
一本おまけしてくれてた
そんな寒い
ある冬の夜のできごと