すべての梢は止まり木である
そらの珊瑚

夕暮れがやって来る頃決まって私の腕に止まる君
ねぐらへ帰る途中なのだろう
一羽であることもあるし
友達を連れてにぎやかにさえずることもある
いやもしかしたらきょうだいだったのかもしれない
あの遠慮のない騒ぎようは
ささいなことで争う
世に言うきょうだいげんかだったのに違いない

今日は二羽で来た
おそらく君は恋を見つけたのだろう
あんなに広い空のどこで
見つけたのだろう
見つけ合ったのだろう
やたらにいい歌をうたう

冬の気配に取り巻かれて
私はすっかり葉を落としてしまったし
小さな虫も姿を消したから
つがいになった君はもう明日は来ないだろう
楽しいよりみちは終わるのだ

唐突に君は飛び立つ
風の次に身軽な君のその小さな足や爪のどこに
そんな力があったのかと毎回驚くばかりなのだが
生きつないでいくことは
重力にあらがい蹴ることなのだといわんばかりに
思いを残すことなく君は飛び立つ
その反動でつかのま私は揺れながら
その黒い影を
それが残像になった今でも静かに見送っている




自由詩 すべての梢は止まり木である Copyright そらの珊瑚 2015-12-05 23:19:29
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