レタス

鱈チリの
湯気のむこうに
君がいて
師走を迎え
喜びを知る

カミナリと
共にやってくる
ハタハタの
粘るブリコに
舌を鳴らして

すき焼きの
鍋奉行は
忙しく
食べることなく
宴は終わる

牡丹鍋
日向の香り
ぐつぐつと
柔らかになる
友と待ちゆく

完璧の
鍋は湯豆腐
葱カツオ
香りに満ちる
冬の夜鍋かな

漆黒の
路地裏かおる
アンコウの
七つ道具が
鼻をくすぐる

常夜鍋
箸を伸ばして
つつきゆく
夜の帳を
忘れた宴

にょっきりと
顔をのぞかせ
食べようか
食べられない
ドジョウ鍋かな

暇あれば
新幹線に
身を預け
名古屋に行きて
味噌煮込み食う

てっちりを
囲んで集まる
同窓会
友は身を採り
われ皮をとる

固い身と
こくりと美味い
脂身の
葱に似合うは
夜の鴨鍋







短歌Copyright レタス 2015-12-05 00:49:29
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