回帰
由木名緒美
土中を這い回る魚にように
生への違和を拭えずに
代替の作法は理由も示さず月と太陽の間を追い巡る
成就することこそが必要だとは言われぬが
影法師のような慈悲が
朧げな輪郭を保って半身の羅針盤を先導する
海は遥かに遠く
同胞達は広大な懐を自由に泳ぎ
私はその浜辺に向かって帰郷の途を辿っているのだろうか
正午の合図に供される餐は
粗末であればある程 与えられる果報を噛み締められる
向かいゆこう
固い石くれに傷ついて
削ぎ取られる鱗が翅のように乾いても
わずかな前進が起点を遥かに凌駕していく
果たせずに この身に四肢が生えるならそれも良い
降雨がもたらす僅かな水溜りに終の住処を見出して
憧憬を産卵するのだ
繋ぐべき承認の尾を振り
水面が蒸発するわずかの間
潤う皮膚につややかな充足を輝らせながら