異体
レタス
何者かはわからない
狐のお面を着けた
誰かが
ぼくをじっとみつめていた
紅い鳥居の陰から
何かを呟いている
よく聞こえないので
誰なの? と
聞いてみると
ぼくだよ
と応える
ぼくって誰?
ぼくだよ
とまた応える
そんなことを何十回も繰り返して
闇はやがて鋼色の空に移ろいだ
その誰かは静かに
空の色とともに去っていった
秘密の仮面は今でも誰かわからない
自由詩
異体
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レタス
2015-12-02 22:03:29
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