ペディキュア
レモン



琥珀とも違う
碧がかった金色の不思議な瞳で
遠くをなぞる弛緩

淡桃色のペディキュアが落ち着かない
透かし視て
爪先が音を立てずに偲ぶから
君は泣かないひとだと思ってた。

強くなどない。
眠りの中で
ちいさく呟く切なさを知っているから
瞳に請う想いが滲んでも
増す愛しさが
痛々しくて
離したくない柔らかな鼓動。
この体温だけが全てなんだと
きつく抱いても添うしなやかさ
気紛れな態度と裏腹に
一途がこぼれる。

柔らかな怯え
開いて
私を凝視する
秋杜の朔夜の寂惹
深く湿った苔の匂い


伸ばした爪に
くちづけた。


自由詩 ペディキュア Copyright レモン 2015-12-01 22:00:11
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