ドリフ大爆笑2015
六九郎
まず初めに断っておくが、腐っている
腐って嫌な臭いを放つ50男
それが俺
今日は仕事が休みだったがやる事もないので朝から映画を観に出かけて見た
ロバート・アルトマン、ハリウッド的映画を撮らなかった反骨の映画人
浮沈を繰り返しながらも一生映画を撮ることをやめなかった男
俺はMASHしか観たことないが
映画館の暗闇のなかで一人脂汗を浮かべる
一生チャレンジし続けて多くの作品を残した偉大な映画人と
一度もチャレンジすることなく気がついたら50歳
何もしていない上に何者でもない自分の小ささに耐えることがもはや厳しくなって来ている
これは日記でもないし文章でもない
ただの腐った独語でしかない
自分の自我を、小さな自我を保つためのささやかな試み
狂った時代の狂った記憶
何のあてもなく何の目論見もなくただノートを埋めていく歪んだ文字の列
カタツムリが這った後に残るぬめぬめした痕
痕が途絶えたところでカタツムリは息絶えていた
カタツムリの残した意味のない模様
それがこれ
何の意味があるのか
分からない
年を経るごとに分からないことが増えていく
自分の名前すら忘れていくのだろう
すべてが霧の中におぼろげになっていく
霧の中に閉ざされた平安が訪れる
やせぎすの自我が乳色の霧の中に溶け込んでいく平安
自分と他人の違いも定かでない世界へ
うっとりとゆっくりと溶け込んでいく
さようなら世界さようなら皆さん
分子は原子へ
原子は宇宙へ
ほんの一時の出会いは偶然の産物
もう二度とわれわれが出会うことはないでしょう
数え切れない原子たち
ほんの一時、おぼろげな男の影を形作ってくれた砂粒たち
幻滅とやりきれなさと未必の故意
さらば世界、さらば皆様
ありがとう、今までどうもありがとう
いざとなると思い出すのは楽しかった思い出ばかりなのは何故かしら
旧ダイエーの二階のそば屋の天そばを食った後に訪れる世界との別れの握手
俺の世界に死んだ男の声が響く
マイク越しの男のだみ声
次行ってみよう次ー
浮かれた音楽が鳴り響き俺の人生の一幕が閉じていく