薄暮の街で
そらの珊瑚

肉体だけが失われた
魂だけになった人々のすむ世界は
遠くて
案外近い、のではないか

たとえば
風の吹いてくる方角に向かい立ち
乾いてゆく眼球の映す景色が
そのまばたきのたびに
一枚の写真になり
さざなみをつなぎあわせるような一日の
終わり近くにあらわれる
うすねずみ色のかげ
まるでヒトガタに
ゆれている
ゆうぐれの透過
誰か、のような気がして
確かめてみる
魂を
魂のありかを
二本の腕を交差させ
抱きしめて みる


自由詩 薄暮の街で Copyright そらの珊瑚 2015-11-25 08:46:31
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