HAPPY BIRTHDAY
しろいろ
ふたりだけのフィクションを食い破りつつ一秒前が次々燃える
「コンティニューしますか」神父は微笑んで湖に差す光が嫌い
除染した区域の薔薇も薔薇だからぼくらは何を殴ればいいの
ほしいもの全部ならべたレシートはジャムで汚してしまっていいよ
散らばった部品の前でひんやりと床は冷たくとても静かだ
まいにちの細部になぐられ風景はきみのぶぶんがくりぬかれている
人の生き死にに関心は特になく現在勤めているパン工場
ぼくだけのあかるい国であの日以来ゴミから象牙をくみたてている
光まみれの埃を吸って傷ついた肺であと半分生きる
きみに安全に管理されるぼくの凶暴をコンマ1ミリ逃がしてほしい
気持ちよく日々は過ぎます 透明なインクで書かれた日記のように
養殖の光を受けて伸び伸びと日本語だけで短歌を詠むよ
大人ランドへようこそまばゆい絶望が振り袖姿で走ってきます