さるすべり
藤鈴呼



猿も木から落ちるかどうか
私が見た 赤い尻は 川下りの最中だった
橋の上だった
木では無かったから 解らないだなんて
想像力の 欠如

ケツをまくっても 
欠如してしまった思想は
元に戻らない

ひらめいたスカートの奥に流れた雫が
ポタリと落ちて 猿と同化する

四つん這いになって走る気持ち
二足歩行のままでは 解らないから

逸る気持ちを抑えて
自らを 犬と思うことにした

猿と呼ぶには ちょっと
賢さが 足りぬ気がしたから

どんな木に 登ってみても
補えぬ分は 遠吠えに 変えてしまおう

大声を出すばかりでは
何の足しにも ならないけれど

絶対に来ない助けを 求める気持ちばかりは
持ち続けて 行きたいんだ

ここは辺鄙な場所ですか…
そんな 質問に

くすっと笑顔で 応えよう
濃ゆい地なのかも 知れません

山と 海に 囲まれて
人の住む場所が 特定されてしまうような
場所だからこそ 

ギュッとしている、
そんなイメージを 持ちながら
暮らして 生けるね

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自由詩 さるすべり Copyright 藤鈴呼 2015-11-22 13:42:06
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