扉の隙間から
ただのみきや

秋と冬の境目の
限りなく冬に寄り添う秋だから
ならべてみたくもなる
あったかいものをしこたまに
炬燵こたつ 湯たんぽ 綿入れ袢纏はんてん
焼き芋 甘酒 鍋料理
熱燗あつかん 団らん 笑い声

立ち枯れた雑草が続く
鳴く者の絶えた土地
虫の眼差しで分け入る
叩く扉はいつも 心の中
聞かせる相手がいなくても
今を歌うことしかできなかった
キリギリスの夢 それとも人の



     《扉の隙間から:2015年11月21日》





自由詩 扉の隙間から Copyright ただのみきや 2015-11-21 11:48:17
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