夜への想い
ヒヤシンス


 天の慟哭か大地の怒りか人間が驚愕するのは決まって夜だ。
 神秘の詰まった夜を私は愛する。
 それはロマンに満ちた星空だけによるものではない。
 何とも言えぬ甘美な恐怖とそこはかとない漂いがあるからだ。

 そこに生ぬるい現実は無い。
 灼熱の業火に炙り出される現実と氷結の現実とがあるばかりだ。
 そんな中にあって私という個は初めて花を開くのだ。
 と同時に蜜を啜りにくる餓鬼どもを私は好まない。

 静謐の中に生きていたい。
 辺境の地に佇む永遠でありたい。
 善の心で美を表したい。

 両性具有の現実を夜に漂い、
 強靭なリズムがとめどなく溢れては消えてゆく。
 そんな夜を私は愛する。


自由詩 夜への想い Copyright ヒヤシンス 2015-11-21 03:14:43
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