バタラ経 ☆
atsuchan69
がんがんがん、
ぐぉーん、ぐぉん、ぐぉん、
薄紫色の法衣を着た僧が
正座し
鵺のような奇声を発して
バタラ経を詠む
向かって正面の祭壇は、
ぐちゃぐちゃのアルミ箔で飾られて
蟹もどきカマボコや
魚肉ソーセージ、
中国製冷凍海老シュウマイだの
干乾びた海の匂いのする鯵の開きだのが
皺くちゃなブルーシートの上に
それはそれは乱雑に奉げられ、
(し)をイメージする
先の曲がった真っ赤な(し)の字の鋼鉄線が、
工事中の道路で見かける
ヘルメットをかぶった青い制服の
旗振りロボットの首にぶら下がっている
ビョウフォー
マンピョウフォー!
意味不明な読経の区切り、
爆竹に火を点ける
しゅーん、
ぱん、ぱん、ぱん!!
沈黙。
徐に、バタラ僧が立ち上がり‥‥
少しバランスを崩してよろめき、
祭壇に一礼すると
ふり向き、
アヒル口(くち)で――
「ふ、ふ、ふ」と笑う、、