芥子色の北風(四)
信天翁

なぎさでさわぐ波濤のように
名前まけする 小公園の
こだちがざわめく 晩秋 に
卒寿となった おひとりさまは
もっぱら せまりくる
おのが身の陰影(かげ)に追われる
甲高い鳥のさえずりと
ときをおなじくするように──
あゝ 遠くで鴉がうなっている
   近くでキジバトが呟いている


自由詩 芥子色の北風(四) Copyright 信天翁 2015-11-18 08:52:34
notebook Home