高砂百合(たかさごゆり)
藤鈴呼



最近 気になる 乙女を見かけた
木に成っている 訳ではないが
白い肌は 美しい
芳しさが 届く程 近寄れなかった日々

棘のような 細かな葉先
切っ先 鋭い 捨て台詞で
笑い飛ばされそうで
近付けなかった 距離感を

街路樹が 埋めた
アスファルトとタイヤの戦いにも
負けぬ程の存在感を 呈していた

チャカを 構えて
今が 勝負だ
そう 言わんばかりに
スッと 紅を引く 女性の唇の如き
紅色のラインが入った 花びらを
そっと 眺めている

鉄砲のようだ
今すぐ ブッ放されたら
きっと 逃げられまひ

いえ いずれ そうなる 運命ですと
高飛車な微笑を 称えたまま
ちょっと 山際からの角度で
ニヒルに 笑う

アヒルのいない 池の底で
鯉が パクついている
恋に ありつく暇も ないものだから
濃い生き方も 出来ないのと
嘆きながら

ウェディング・ハイ
透明な マントを羽織れば
誰にも 見定められぬと 知っていて
あえて 選んだ 純白の ドレス

裸の王様を 娶ることも 出来ず
背筋を正して
佇んでいる

雨の後
何よりも 君が 
美しく 見えた 一日

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自由詩 高砂百合(たかさごゆり) Copyright 藤鈴呼 2015-11-17 22:17:52
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