問うてはくれない人もある
千波 一也



世話好きな暮らしを離れて
夜更かしの日常に
浸りきる

お節介な暮らしを離れて
自堕落な寝床に
根を生やす

まわりの奴等はといえば
どいつもこいつも
似たようなもんで
互いに互いを
気に留めない

洒落た街中に佇めば
それなりの青春を謳歌している
気がしてくる

賑やかな街頭に繰り出せば
人並みの幸せを歩めている
気がしてくる

けれど

毎晩の弁当が
代わり映えしないとき

独りで布団にくるまって
寒気と闘うとき

テレビ画面に
返事のこない言葉をかけたとき

この身のつたなさを
問うてはくれない人のあることに
不意に気がつく

問うてはくれない人もある

問われたがりさながらに
あるとき不意に
気づいてしまう







自由詩 問うてはくれない人もある Copyright 千波 一也 2015-11-17 11:57:03
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