水草と魚
そらの珊瑚

あなたが水草だった頃
わたしは産まれた
あなたは水草の味がした

ここにつどうすべてのいのちは
いのちをきょうゆうしている
だから
それをざんこくなどとおもわないでおくれ

あなたはそう言った気がする
あれは
わたしが巣立つ朝
光満ち満ちて
あなたと別れて
どこかへ向かう朝

ながい時間を経て
ふるさとへ帰ってみれば
水草のあったあたりは崩れ去り
水草であったあなたはもう
かげもかたちもないけれど
ざんこくなことだとおもうのはよそう
あなたの魂は今
わたしの芯でやさしくゆれて
旅の途中できょうだいたちはみな食べられ
ひとりぼっちになったわたしを
あやしてくれる


自由詩 水草と魚 Copyright そらの珊瑚 2015-11-15 08:12:45
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