神経
葉leaf



あの街角にひっそりと立って
待ち合わせの標となっている一体の彫像
あれはむき出しになった街の神経だ
その敏感な裸体をさらしながら
人々の眼差しに貫かれ
あまつさえ人々にじかに触れられる
その度に崩れそうになりながらも
形をとどめ続ける街の神経

山は鬱蒼と神経を生い茂らせている
山に生える草木はむき出しの神経で
山はそれを隠すことを意図的にやめた
だから山は陽射しも風雨も敏感に感じすぎて
いつでも苦痛にあえいでいる
山の巨大な重量は草木の夥しい感受力を支えるためにある
山はいつだって崩れ落ちそうだ

私の神経は至る所に存在する
世界に瀰漫するエーテルのように
繊細に社会の波を伝えていく
遍在する神経は広がり過ぎて
もはや根を張ってしまったので決して回収できない
社会的な出来事その問題その毒
批判的感受力で波を受信しては
今にも世界の淵で濁って流れ落ちてしまいそうだ



自由詩 神経 Copyright 葉leaf 2015-11-15 04:52:23
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