他動運転自動車
イオン

「芸人ヨシダリアンの新発見伝コーナーです
 先ほど映像、すごかったでしょう
 今日はスタジオに、この他動運転自動車を開発した
 開発部長の西田さんにお越し頂きました」
「よろしくお願いします」
「先ほどの映像にもありましたが、あれは自動運転ですよね?
 でも、後半にタクシー会社が出てきて
 タクシーの運ちゃんが、テレビゲームしてましたけど
 どういう意味ですか?」
「はい、タクシードライバーが自動車を
 遠隔操作で運転しているんです
 タクシー営業所のシミュレーターで運転しています」
「はぁ、だから自動じゃなくて他動運転やと」
「そうです、このクルマのオーナーは
 自分が運転したい時は運転を楽しんで
 運転したくない、できない状況の時は
 誰かに運転してもらうという仕組みです」
「はぁ、できない状況とは?」
「移動時間に、仕事を片付けたいとか
 まぁ、飲酒をしたとかですね」
「なるほど
 でも、なんでタクシーの運ちゃんですか?」
「タクシーの需要はマイカー増加によって縮小しました
 運転代行というアイデァで乗り切ってきっても
 縮小の速度は止まりません
 そこで、自動運転技術と運転代行をつなげました」
「なるほどね、考えましたな」
「運転手は営業所では運転代行の仕事があり
 本当にタクシーが必要な仕事が入ったら
 別の営業所や別の会社の空いた運転手に
 運転を交代してもらえます」

「でもね、西田さん
 これも自動運転の一つですよね
 ボクね、気になっている事があるんですよ
 いつだったかなぁ、自動運転のクルマが
 追突されたじゃないですか
 自動運転なのに自動でかわせないって
 どういことですの?」
「実はそれが、自動運転の盲点でして
 それを解決できるするのがこのシステムです」
「なるほどね、あと、すべてのクルマが
 自動運転になれば解決できますよね」
「それも考えていますが、問題があります
 すべてのクルマが自動運転になったら
 今町中を走っているクルマを
 すべて無人のタクシーにできます」
「えっ、それは、自分が使わない時は
 タクシー営業させるってことですか?」
「さすがですね、その通りです
 でも、不動産経営とは違いますので
 誰もが副業的にやる訳には行きません
 ゆくゆくはタクシー業界にクルマが渡り
 自分でクルマを所有する必要がなくなると思います」
「えっ、免許取らなくていいですやん」
「そうです、クルマは売れなくなりますし
 駐車場も自動車保険も要らなくなります
 自動車産業自体が廃れていくことになるので
 期待なさらないでください」
「そうですか、ボクら自動運転というのは
 技術的な問題だけだと思っていました
 交通戦争が無くなならないのには理由があるんですね」
「はい、兵器による戦争が無くならないのと同じ理由です」


自由詩 他動運転自動車 Copyright イオン 2015-11-14 13:00:02
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