青天
野澤 尚也
幸せってなんだっけ
白みがかった青い空
病室の 天井に浮かぶ
目の中のごみ
火をつける 煙草には
嘘の味ばかりする
けれど
幸せってなんだっけ
生きているって幸せだっけ
白い煙が上がった空
私が言葉にしたかったことは
全て塞がれて
俺は犯罪者である
火をつける煙草には
嘘の味ばかりする
本物は別のところに
あると考えている
逃げ場のない苦しみに囲われて
置き場のない幸せが漂っている
白い息を吐いて
風邪をひいたんだって 思わされる心
早く楽になりたいな
このまま幸せになれたなら
静かに近づく雪に埋められて事切れても構わない
「私が言葉にしたかったことは
明るい社会に埋め立てられて
俺は犯罪者である」
幸せってなんだっけ
誰かを幸せになんか
できないって
俺は俺を取り戻すことに
精一杯になっても
煙草を吸っているようだから
自業自得で
何も頼らず死んでいかなくちゃ申し訳ない
他の誰にも触らせられない
自分の幸せだってもう
作れなかった
明るい振りしても
人生は何も変わらず
落第したまま 日が落ちるのを
よろこんで眺めている
幸せってなんだっけ
見上げたところは青い空だったよ
みんなの心は綺麗だったよ