SAD
ヒヤシンス


 人工的な街で君はその才能をいかんなく発揮した。
 時に夢見るように。時に現実に抗いながら。
 レゲエのリズムにただその細身の体を漂わせながら。
 きっとその時、神様に目をつけられたんだね。

 黄昏時に思い切り悩み、傷ついていたのかい。
 信用っていうものを信じてはいなかったのかい。
 ただ小気味良く刻むベースの音に酔いしれながら、
 ビールを飲み続けていたね。

 他人は君に勝手なことを言っていたよね。
 君は生きたかったんじゃないのかい。
 もしも君自身が選んだ道なら僕は悲しくてたまらない。

 僕らは君の分まで精一杯生きてゆくしかないじゃない。
 生きてゆくしかないじゃない。
 そう、僕は君の歌った土曜日の夜に生きるって決めたんだ。


自由詩 SAD Copyright ヒヤシンス 2015-11-14 01:42:16
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