あの娘がいなくても月キレイじゃない?って話/即興ゴルコンダ(仮)投稿.87
こうだたけみ

夜を、こんなにもたやすくつかまえられるだなんて思ってもみなかったせいで、しばらくは誰にも見せないでしまっておいたのだけれど、あの娘がいなくても月キレイじゃない?って気がついてしまったから、ものを飲み込むときは少しだけうつむき加減にした、誤嚥防止に。胃薬なんかすぐおかしなとこへ入って涙を流すほど咳き込んだあげくニッキの味がずっとするし、ヒッと言って飲み込んだ飴はたいがい袋に一つしか入っていない大玉だし、これってもしかしたら失くした恋のお話なのかなって、ぽっかり空いたカラダの中心へ向かって落ちてゆくもののことを思う。空だね。空っぽだ。喉もと過ぎればなんとやらってなんて便利な言葉なのって、笑ってあげるきみの代わりに、泣くのはいつでもできるし。


自由詩 あの娘がいなくても月キレイじゃない?って話/即興ゴルコンダ(仮)投稿.87 Copyright こうだたけみ 2015-11-12 01:10:21
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