さあ お食べ 二篇
るるりら

【曼珠沙華饅頭】




まんじゅまんじゅまんじゅしゃか
まんじゅつくる女の手が
ある日 突然 伸びてくる
にょきにょきにょきにょき 伸びてくる

なにをまるめよか 曼珠沙華
かわいた青空 まるめよか
かなしいみたまを まるめよか

しなやかな指は やがて 炸裂し
ひばなのよう
はなびのよう
すっくと立たって 揺れもしないで
おんなの手が

わしが みたまをまるめて 
まんじゅを つくってやろうぞ
飢えて死なんでおくれやと
おんなは まんじゅうを地面に隠しているそうな





【バク鍋】

人々の苦しみからは いい おダシがとれる
いつだって黒白つかぬ原因から始まって
グレーゾーンになだれ込む 曖昧模糊複雑珍味
今夜もバクの夫婦は 鍋の中に 人々の悪夢も予知夢も
ぶっこんで、 鍋の周りで 踊りだす

黒白の身体をくねらせて
鍋の周りを ぐるぐるまわりながら踊る
黒白つかぬ ごった煮鍋のアク(悪)をとったりとらなかったり
夢が形をうしなったり うしなわなかったり
栄養になったり 毒になったり

バクの夫婦が 鍋をつつく
トランプの貴族様のように ふたりはひとつになって
笑いながら鍋をつつく
地獄の夢も ちょうど 食べごろ

※バク鍋は、atsuchan69さんのアフリカ鍋より ヒントを頂きました。


自由詩 さあ お食べ 二篇 Copyright るるりら 2015-11-11 15:25:31
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