水たまりの夜
岸かの子2

いつだったか私の境目に幸せの文字が消えていた
探しもしないまま周りだけ時間が経ち 取り残されている私
孤独なのは破滅だけではないけどなぜか
空を見上げてさみしさを紛らわして遊んだのは 満月の夜
外国じゃフルムーン
ただそれだけじゃないかと、はにかみながら声を掛けてきた男に言われる
誰かが言っていた
満月を見てため息がでるのは日本人だけだよ
境目の幸せの文字がまた薄れてゆく
さみしくなんてないけど
上を向いて歩く私を見つけてほしい
幸せの定義とお前は何もない人なんだよと
知らしめて欲しい
水たまりの満月は少し揺らいでいる
私は下を向いて月の美しさを知る


自由詩 水たまりの夜 Copyright 岸かの子2 2015-11-09 23:24:56
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