My Tiffany
レモン


地下鉄の階段を昇れば華やかなプロムナード
様々なbrandshopが、
あなたの部屋へとつながっていた。

私はきまって
TIFFANYのshow windowで足を止め、
硝子の向こう
柔らかなカーヴを描くsilver rinkを
飽かず眺めた。

欲しいのか、と
あなたに問われる都度
ただ、微笑んだ。


路地裏には
古びた店が軒を連ね、
あなたは
その通りを
ひどく嫌った。

一度だけ、
うらぶれた駄菓子屋に並ぶガチャガチャの
オモチャの指輪をねだったら、
くだらない、と
せせら笑った

あなた。


とどかない届かない。
まるで磨硝子ごしの影を追ってるみたい
とどかない届かない。
防音硝子のこちら側、たたいても叩いてもー


 あなたには
  届かななかった。


帰り道、
ありったけの百円玉を握りしめ
手に入れたオモチャの指輪。

指にはめても哀しくて
この想いごと
投げ捨てた溝の中、
指輪はとてもきれいに燃えていた。

欲しかった
あなたのこころみたいに輝きながら。


自由詩 My Tiffany Copyright レモン 2015-11-08 09:47:13
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