sun/run
レモン


暗い海の
底に
ゆっくり
降りていきながら
太陽が淡く
優しい、と
知った。

海の底で
震わせた呼吸
私の、聲。
ちぎれ散り
蒼い波紋
さざ波
どうか届けて
あなたの眠る岸辺へと

かさなるように開く
乱れたことを
覚えている
落とした爪の亡骸でさえ
沫だっていく
ひとつひとつの細胞を

軋み撓む
ヴィオラの悲鳴
歓びは痛みにも似て
貫いた光
どこまでも高く昇りながら、
私は願った。


  このまま…  


このまま弧の間々
歓びに包まれて
太陽の赤子を孕んだみたいに

いとおしく
黒髪からめ
離れたくないこゆびと中指
思い出す必要もなく
忘れることなどできなくて。

夜の底
波に唄声のせながら
産卵する
想いたち
たとえ燃え尽きてしまっても
つぎつぎ孵化する白い泡


駆け抜け
走り出す。


再び
あなたと出逢う日を。


自由詩 sun/run Copyright レモン 2015-11-08 01:47:07
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