ため息ひとつ
ヒヤシンス

 私の窓辺に晩秋の風がやってくる。
 あの山の麓の村にもそれは訪れただろうか。
 恋しくてたまらない。
 我が半身は今どこを旅しているのだろう。

 想像の翼を広げてみれば新たな地図が必要らしい。
 懐かしさを封印するのもやめようか。
 悩んでいるうちは私もどうやら人間らしい。
 今ここに在ることが大切なのだ。

 やめられない煙草に火をつけよう。
 一服の間に答えなんて見つからない。
 探せばきりがないほどこの世は面白い。

 死の淵を覗きながら与えられた生を生きる。
 すべての行いには理由がある。
 遠くでぼんやり鐘が鳴る。


自由詩 ため息ひとつ Copyright ヒヤシンス 2015-11-07 06:38:55
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