冬の光
カメグ

真冬の空を見上げると
触れればたちまち血が噴き出るような
鋭利で銀色をした太陽の光が
突き刺さってきて
女はとたんに眼を閉じたが
まぶたを通しても痛みを感じるほど
眼球は鋭い光の残影を見るしかなかった

女は割れたガラスの先のような
冷たい太陽の光を顔に浴び
その光は皮膚に染み込んでいく
冬の太陽の光は
染み込めば染み込むほど
女の顔を白くしていくのだ

太陽は傾き、一日も終わりに近づき
女はその日の労働を思い返しながら
立ち上がり、振り向いて
ガラスの果てにある鈍角になった光を見上げた

女は立ち上がり、振り向いたままの姿で
すぅーっと小さくなった
顔は幼くなり、胴も手も足も短くなり
五才ほどの女児がそこにいた
女の面影を色濃く残した無邪気な顔をほころばせ
ゴムまりのように弾けて飛び回り始めた

女はいつもと変わることなくそこにいた
あの傾きかけた鈍い太陽の光を浴びて
女児に生まれ変わったはずの女は
一層白く、張りのある、健康的で、生命力のある顔で
怖じ気なく、笑顔で迎え入れてくれた


自由詩 冬の光 Copyright カメグ 2015-11-06 20:12:30
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