冬の光
カメグ
真冬の空を見上げると
触れればたちまち血が噴き出るような
鋭利で銀色をした太陽の光が
突き刺さってきて
女はとたんに眼を閉じたが
まぶたを通しても痛みを感じるほど
眼球は鋭い光の残影を見るしかなかった
女は割れたガラスの先のような
冷たい太陽の光を顔に浴び
その光は皮膚に染み込んでいく
冬の太陽の光は
染み込めば染み込むほど
女の顔を白くしていくのだ
太陽は傾き、一日も終わりに近づき
女はその日の労働を思い返しながら
立ち上がり、振り向いて
ガラスの果てにある鈍角になった光を見上げた
女は立ち上がり、振り向いたままの姿で
すぅーっと小さくなった
顔は幼くなり、胴も手も足も短くなり
五才ほどの女児がそこにいた
女の面影を色濃く残した無邪気な顔をほころばせ
ゴムまりのように弾けて飛び回り始めた
女はいつもと変わることなくそこにいた
あの傾きかけた鈍い太陽の光を浴びて
女児に生まれ変わったはずの女は
一層白く、張りのある、健康的で、生命力のある顔で
怖じ気なく、笑顔で迎え入れてくれた