はて

花火はまるく枯れていきます
ショーケースの中の目玉焼き


煙の輪
海月だよね

水族館で青い光に泳ぐ球形の
触手は意思もなく揺れていて
夜を渡る浮遊はそれぞれに
腕を伸ばす

一度打ち上がった花火が轟音とともに破裂
キラを散りばめた円形に纏められている
明かりの消えた花火は跡形を残したまま漂う
煙のほうがよほど立体的だ
崩れていくさま、夜よりも明るく
崩れていくさま、意思もなく揺れる
千切れていくさま、触手には触れられない

片側からだけ眺めることができる
円と円と崩れた円は


ガラス張りの海にはいつも夜が詰め込まれ
海月が泳いでいる
いつでも部屋の中から
触手の柔らかさを見ている


自由詩Copyright はて 2015-11-05 22:14:35
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