いつか失ったものたちへ
梅昆布茶
きみが奏でるインプロビゼーション
太陽がさししめすデスティネーション
私はずいぶん整理されたのかもしれない
まるで骨格のように洗われるだけになりたいと
素朴な島人でありたいと心底おもったことはないが
いまはすこしだけ離島に棲んでいる
ときどきは足が病みすでに老眼である視界は狭窄しつつ
それでもなにかを追ってさらにちょっとだけ失ってしまう
それが心地よいのかもしれない
乱反射する歴史のたくらみや
閃くたびになにかしら痕跡をのこしてゆく
人間という不可思議の森
老廃物のうえにさらなる
なにかをかさねてゆくことで
じぶんがたったひとりの
難民であることに気づく
しかし私の敬愛するひとびとから
ひきついだ卵を暖めてゆかなければならない
誇張も縮小もできない無垢を
ちょっと薄めて生きること
あなたに教わった生き方だ