今年の秋
「ま」の字
このような気温であるのに
なぜ雲は浮かぶことができるか
冬に向かう日の まぼろし
日もかげり奔る地の遠い端では
なにか小さなものを手にいじって暮らした
四角い小さないすに据わったからだが
つめたくてわがままなひかりとかぜ を
あかく 浴びせられる
トクトク さむいよ
トクトク 心臓はうごく
木製の頭を抱えた(あたま かタむけた 頭痛 の
にほひ )
模造のような 人体のひと
ふりむいても
子供 とぶとりの空 はしるひと
ひとのない むなしいあたらし い空き地
そらには
雲は浮かぶことが
「自由」とペンキで塗られていた