三匹が斬る〆 現代詩フォーラムランダム道中千人斬りの巻 其の八拾弐〜其の壱百
熊髭b


さてと、やっと百に届きそうだぞ。
前回も言ったとおり、ここでしばらく俺は姿をくらまします。
人の数だけ、その人の読みがある。
大切なことは、その自己主張を通し抜くことではなく
私のなかの私ならざる部分と向きあいながら
最後まで言葉を尽くして伝えていくこと。
出したり引いたり、バランスとりながらさ。
ってえ、これがとても難しいことは、俺もいたく身にしみてるんだな。
こんなやくざな商売始めるとね、自分が疼くわけだ。


言葉なんてえやつは、自分の外側から訪れ
自分の外側に還っていくものなんだ。
じゃあ、その間にある自分ていったい何なんだろうね。
俺は、そんな不思議を時々考えたりする。
こんな企画なんぞ始めたのも、実をいうと
そんな言葉の不思議にまどろんでいるからなのかもしれないね。




□其の八拾参

『烏』 雷 小龍  ☆☆☆☆☆
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小龍さんはじめまして。血に飢えた剣呑です。独白ですな。烏という素材をどこに置くのかで、作品を生かすも殺すも決まってくると思うのだが、これはお決まりのパターン。俺は常々思うのだが、存在は認識に先立つのだから、対象(烏)を認識した存在者(自分)の独白よりも、存在としての烏の詩が読んでみたい。それが無理なら、自分の心象風景に囚われることなく、もっと烏を見つめてほしい。どれだけ対象に対する時間を感じられるか。せめてそのことでの説得力を感じてみたいぞ。ちょっとわかりにくい文章かな。すまないが汲んでくれればありがとう。



□其の八拾四

『舞踏会』 かなりや  ★☆☆☆☆
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かなりやさん、はじめまして、熊の目です。一読して、どうにもこうにもなあと思ったのだけれども、語りがね、ちょっと気になる匂いをだしてるなあと思い返したわけです。別段目新しい口調でもないのだけれども、キモノ、がここまで妙な主張をされているのが、ちょっとひんやりとした感じを出していて、その感じと口調がちいさな共鳴を醸し出しているのかもね。意味を主張する詩がある一方で、意味を探らせる詩というものもあって、作者は意味を探らせているわけじゃあないんだけど、読者にとってはちょっとした宝捜しみたいで、それも楽しいじゃないか。



□其の八拾五

『ぐっと』 半分  ☆☆☆☆☆
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半分というのはなかなかおしゃれな名前ですね、はじめましてクマ次郎です。言葉遊びはあまり得意じゃないので、こういうのを書けるひとってうらやましい。でもこれはあまり楽しいとはいえないかも。言葉遊び半分ってえ感じだな。前の文を受けての次の文の展開が加速していく面白さや、意味の回文的おもしろさが、こういう言葉遊びの命綱だと思うんだけど、どちらも半分こって感。つなぎ目をもう一度点検してみようじゃないか。



□其の八拾六

『メトロノーム』 あっちょんぶりけ  ☆☆☆☆☆
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あっちょんぶりけさんはじめまして。ドクター熊髭です。うーむ、ほほえみながらっていう部分と、「僕」っていうのがミソだな。ミソって程でもないか。ほう、そうか!メトロノームが微笑むっていうのが斬新だし、僕のリズムに合わせてっていうのが、メトロノームのリズムとかけてて座蒲団3枚!というように、この詩の面白さを語るのはとても難しいぞ。要するに、わかるわかる団(注;自分のわかる世界を増幅してくれるものに大きく共感する人達の秘密結社)に向けてのひとつの業務連絡だな。あなたの姿を見せておくれ。がんばれ!!(ガンバルジャン)



□其の八拾七

『彼女の朝』 川村 透  ★★☆☆☆
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川村さんこんにちは。熊さん、八つあんの八です。よくお名前をお見かけします。さて、これはちょっと手ごわそうだぞ。なのでご飯食べてこよう。ご馳走様でした。摩り替える、刷り返る、摺り返る、スリ帰るリフレインの伝播が、表の口と裏の口で話す饒舌なパラレルワールド。ちょっと残念なのは、構造の複車線を走る自分の言葉に少し強く酔い気味な感なので、ほろ酔いくらいの着色で彩りを掬い取ってみたら、少し離れ身の身内が程よいコクを醸すかな。



□其の八拾八

『そろもん(創世記・抜粋の話)』 みつべえ  ★☆☆☆☆
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おっとみつべえさん、ようこそ再び千人斬りへ。末広がりですな。これはいまやってるそろもんシリーズのひとつだな。しかしシリーズ好きだなあ。俺なんかこの千人斬り以外、シリーズものは続いたためしがないのだ。さてさて、ユムユム、これだけじゃ、どうにもようわからん。こりゃ、ひとつだけ読んでも仕方がないな。でも何だかたくさんありそうなので、それを読むといいかもね。俺は億劫だからまだ読んでないけどさ。まあいいや(笑)



□其の八拾九

『懐かしい、鼓動の中で……』 緋乃村燿介  ☆☆☆☆☆
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お、剣客か?緋乃村燿介殿、はじめまして。さて、この「・・・」というものには要注意だ。どんな詩かな。内容については、今まで恋愛の詩に色々と言ってきたことを敷衍してもらいたいのだが、誰かに話し掛けているような振りをして、登場人物を全部自分で演じるのはそろそろ終いにしないか、言葉たちよ。ふんばれ!(和式ザク)



□其の九拾

『わたし』 石川和広  ☆☆☆☆☆
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石川さんはじめまして。よくお名前は見かけていましたが、詩を読むのは初めてです。さあ、一篇の詩を読むぞ。うーむ、ちょっとだらしがない言葉の連なり哉。堂々巡りするのは、チビクロサンボの虎でも何でもそうだけど、あれは確かバターになったよね。各々の関係はきちんとそういうもうひとつたおやかな物語のなかの持ち場を引き受けているわけだ。これじゃあ、独善が過ぎて、おいしいバターになれないぞ。



□其の九拾壱

『誰でもイイケド…』 春日野佐秀  ☆☆☆☆☆
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春日野さん、はじめまして。クマベタです。ううう、もういいかなっとか思ってしまうんだけど、リフレインになってしまうことを書きつづけるのは、俺もつらいし、読者もつらいし、作者もつらい。でも修行とはつらいものなのだから、書くぞ。がーんばれ!!!(それだけかよって幸子は言うのです)



□其の九拾弐

『正午過ぎにはクリーニング屋がYシャツを届けにくるので僕は部屋で待ってます』 カンチェルスキス  ★☆☆☆☆
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あと八つ。どうぞ斬りきれますように。はあ、俺はこれしきのことで気の利いたコメントも出ぬようになっては修行が足りぬなあ。お、確か3度目だな、カンチェルスキスさん。これも何かのご縁、必殺多重斬り。エイ。しかし、題からして語ってるなあ、どんな詩かな。エイエイ。いやあ、下手糞な詩だなあ。言葉の面白さに頼りすぎて、切り貼り上手じゃないか。前の二つのほうがよっぽどよかったぞ。題がそれっぽく座っているけど、どう面白く書こうかっていう気がムンムンだぞ。俺はやっぱりこういうのは言葉に走りすぎてぇ、逆に面白みを失うと思うんだ。だったらストレートでやればいいじゃないか。あんなにストレートな直球持ってるんだから。大事なのは間合いだよ、見切りの前の間合いが重要なのだ。



□其の九拾参  

『虫けら』 凡  ☆☆☆☆☆
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凡さん盆。インドのヒッピー式にご挨拶。さて、虫けらですか。けらねえ。ふむふむ、服のセンスっていうのも組み合わせや、着るひととのコラボレーションなわけで、言葉っていうのも、語る前提としての組み合わせがある。その組み合わせで、どういう世界をひらいていくのかっていうのが、そのまた次の段階で問われることで、やっぱり言葉の表現の基礎っていうやつはあると思うんだな。一連目とかやっぱりうまく言葉が機能していないよね。これは面白さっていう奴とは違うんだな。鍛錬を積んでいないひとが界王拳をやりすぎると、身体が使い物にならなくなってしまうように、言葉にもそれ相応の鍛錬が必要だと思う。言葉の立ち姿の美しさを磨くんだ。そしたら界王拳10倍だって夢じゃない。がんばれ!(てふてふでぶ)



□其の九拾四

『ノート(ふたつの音楽)』 木立 悟  ★☆☆☆☆
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お、このひとはたくさん詩を書いている人だな。木立さん、はじめまして。詩を読むのもはじめましてです。詩というよりは、哲学みたいな言葉だなあ。応え以上の応えを浴びて、昨日は突然消え去って、今日と明日は行き来する、なんて直観で言われるとその意味を考えてしまうじゃないか。でも考えるにあたっての言葉が、どこか論理的で、イメージを作者の側に縛ろうとするぞ。まわる声とかまわる花っていうのはいいじゃないか。何だかメルヘンで。自身の問いかけよりも、動的に在らざるをえない、その衝動の肉感をもっと感じてみたかった。



□其の九拾五

『鏡』 蒼空と緑  ☆☆☆☆☆
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蒼空と緑さんはじめまして。北千住と女満別です。ふう、ちょっと一息だな。この詩のコメントはオアシスでもいいっしょ。ふう、あと5人か。



□其の九拾六

『ずっといたい』 瓜田タカヤ  ☆☆☆☆☆
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=27422

瓜田さんはじめまして。世界がきみとぼくの、もっと言えば、ぼくの感情の吐露のためのツールに使われてるから、言葉が固定化されて、方向も定まって、死んだ言葉になってしまう。世界は硬直化して、古くなって、あまりにも脆い。はかないのではなくて、脆い。もう何度も繰り返しているが、これだけ繰り返すということは、みんなあまり人の作品を読んでいないんだな。ひとのふり見て我がふりなおせ、っていうベーッシックな先人の問いかけに答えようぞ。がんばれ!(奔放刑事)



□其の九拾七

『黙示録 〜罪のない者が、最初に石を投げた』 クリ  ☆☆☆☆☆
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=13092

クリさんはじめまして。少し語らせてもらっている熊です。これは可知論的な書かれ方の詩で、不可知論者の俺としては、こういう詩をきちんと読まなくてはいけなのだが、俺はどうも自分の知識を総動員して切り貼りしたようなこのものの言い方がしっくりこないし、大きな枠組みで見えることって、ほんとうにそんなにあるのってえも思っちゃう。やはりこのように書くならば、きちんと自分の立ち位置を言葉に込めなくては、ただの知的遊戯の延長に見られてしまうだろう。なんていうか、言葉だな、やっぱりそのに込められている言葉のひとつひとつにどれだけの説得力を感じるかっていうのは、書かれた言葉であっても、そこに作者の息遣いのようなものを感じるのだが、どうも言葉ばかりが主張して、その息遣いが聴こえてこないのだ。この言葉が骨や血となる存在があるならば、認識なんぞ光速の速さでぶっとばせ!



□其の九拾八

『no future』 橘キクチ  ☆☆☆☆☆
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=29024

さあ、あと3つ、ランダム神よ、寝不足をいとわず斬りまくる俺をドキドキさせておくれ、んがーんん。橘さんじめまして。よろしく御免。おうおうおう、橘さんよう、ビューティーじゃあないんだよ、言葉が。言葉ってえいうのはなあ、外側から来て、外側に還っていくものだっておじさん言ったろう。自分の中で沈殿させてちゃあ、それりゃあ、澱むわさ。気持ちの前に、言葉ありきだ。もうおじさん怒っちゃうよ。ぷんぷんぷん。がんばれ!!(プンポンパン)



□其の九拾九

『有り合わせのシチュー』 けいこ  ☆☆☆☆☆
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=3299

けいこさんはじめまして。99人目の斬り捨て失礼します。とんとん、もしもしお嬢さん、ちょいとこの言葉の宛て先を間違えていますよ。きちんとそういうものは、特定で届けてください。もうやけくそだ。がんばれ!!!(焼け栗むけないマン)



□其の壱百

『フリーダム渦巻きバレエ団』 カンチェルスキス  ★☆☆☆☆
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=11380

さてさて、一区切りの百まで来たぞ。いままで斬り捨ててきた詩人の魂への鎮魂を込めた我が刃を受けてみよ。剣はペンより強しだ。どーん。カンチェルスキスさん4度目の登場。佐々さんと並んで、ベストスライム賞の最有力候補です。いざ。うーん、いけそうでいけない感じ。ハンドルの遊びが多すぎるのかなあ。ハンドルさばきはうまいからそうじゃないか。アクセルの踏み込みが足りないか。うん、このひとの言葉は、遊びがあるんだけど、踏み込みがいろんな意味で物足りない。意外と無難な人なんだな。言葉の遊び感覚が期待をそそるので、余計にそう感じてしまうのかもしれない。コピーライターだったら才能を発揮しそう。






よいしょっと。
そういうわけで、そろそろ次の武者に引き継ぐとしますかね。
いろいろと多弁を御免。斬り捨て御免。
ではでは、肉球マニア殿、お後はよろしくお頼み毛布。



散文(批評随筆小説等) 三匹が斬る〆 現代詩フォーラムランダム道中千人斬りの巻 其の八拾弐〜其の壱百 Copyright 熊髭b 2005-02-17 14:54:10
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