緋のマント
千波 一也
夕日のみえる高台で
ぼくはきみには背を向けない
だれかの家路を
見下ろすぼくには秘密が多い
赤面してもわからないから
夕日にそまる高台は
告白するのに都合がいいけれど
ぼくはきみには背を向けない
きみに向けない背中には
勇ましいマントがあって
それは
確かに夢のためのはずで
確かにぼくだけの物のはずで
夕日のみえる高台で
ぼくのマントはきみにはみえない
笑われそうな
こころをかばうように
ときどき風が言葉をさえぎる
ぼくにはきみに
嘘つきにすらなれない
自由詩
緋のマント
Copyright
千波 一也
2015-11-01 13:21:50