希薄な1日に
藤原絵理子


気がつくと誰もいない 音楽も止んでいるのに
あたし独りだけが 踊り続けている
誰かに見られていることが 心地よかっただけ
あたしはダンスなんて 好きじゃなかった


目覚めたとき 空には雲ひとつなかった
夜明け前の悪夢の不安は 小鳥の声で
ドアを開けた 朝の匂いは芳しく
強い女を演じることを やんわりと強要する


きみが 楽しそうに笑う
あたしから 遠く離れたところで
無意識の無関心 あたしとは無関係に


ヒールの音が 怖いほど大きく響く
人気のない地下道で ホームレスが見ている
ルージュの宣伝ポスターに 慰められている


自由詩 希薄な1日に Copyright 藤原絵理子 2015-10-30 22:23:41
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