希薄な1日に
藤原絵理子
気がつくと誰もいない 音楽も止んでいるのに
あたし独りだけが 踊り続けている
誰かに見られていることが 心地よかっただけ
あたしはダンスなんて 好きじゃなかった
目覚めたとき 空には雲ひとつなかった
夜明け前の悪夢の不安は 小鳥の声で
ドアを開けた 朝の匂いは芳しく
強い女を演じることを やんわりと強要する
きみが 楽しそうに笑う
あたしから 遠く離れたところで
無意識の無関心 あたしとは無関係に
ヒールの音が 怖いほど大きく響く
人気のない地下道で ホームレスが見ている
ルージュの宣伝ポスターに 慰められている