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香椎焚

産んでくれた親がいるから
決して言えない言葉がある

線路の露に消えていった彼の想いは
やっぱりものすごく悲しいけれど
もしそれが本当だとしたら
分かる かもしれない

語られない事実があって
語られない思いがあって
それは
あるがままを見せるなんて、そんなはしたないことしてはいけませんよね
byのばら
という場合もあるだろうし
防衛本能もあるだろうし
優しい回避もあるだろうし
使える言葉でどんなに紡ごうとしても正しく描写できない場合もあるだろう
ちょっと切ないね

理性が正しく期待を葬れるようになった
それは本当にうまくなった
たとえば私がふみにじった分くらいは
私もつらくなっていいと思う

そうしてまたひとつ冷たい人間になる
底の方で細く1本流れる冷たい川
の水は悲しいぐらい澄んでる

本当は 求めていいのに

違法駐車をするように
そっと寄り添うなら
分からないふりをして
肩越しに他を探す

大好きだと凭れかかってくる男の子の肩の上で仕事のタスクを確認したり
他の子とデートした帰りに無性に会いたくなって普段より愛情10割増のメールを送ったり

人はそういうことができる

人の中の真実は
なんて曖昧で頼りないんだろう
そしてなんて多面的なんだろう
誰がそれを語れるの、一本の道で?
誰がそれをはかるの

もっときれいに産まれてくればよかったナ
そしたらもっと何かできてたかもしれなくて
でもどうにもならなくて
生きてる以上なまもので

女の考えてることが全く分からないって言われたとき
逆もそうならこの環境って一体 と思った
周りの人のことが本当は分からないし
本当は誰にも理解されない
どんなに同じようにしてても
体のつくりからして違う
違う思考回路を使ってる
ただ呆然とした
わかってもらえるなんてこっからさき期待してはいけないと思った

男の人も男の人で 女の人も女の人で
それぞれで大丈夫になる術を身につけていくから
でも 大丈夫になるのが1人で生きられるいうことなら
大丈夫じゃなくていい

だからきっと求めていいと思う 本当は

何もしなくてもいられる所とか。
馬鹿なままで許される所とか。

自分だけでどうにかできる訳じゃないから
覚悟も一応する
親不幸者でごめんなさい

そう結局は簡単な話し合い
好きか普通か嫌いか
どうでもいいかどうでもよくないか
どのくらい欲しいかあるいはいらないか

使い古しの口説き文句でも
暇つぶしのメールでも
それでもたまには救われたりする

昨日より前のことに真実味が感じられない
それはきっと昔から
だから信じるしかない

いろんな正しさがいっぱい
みんなある程度見抜いたつもりでいる
でもきっと全部は合ってないし
探偵気取りで推理したり外挿したり裏をかいたりは疲れる
どうせ本当のことは伝わらない
どうせほとんどの言葉は一瞬のもの
どうせ銘々が勝手なことを思って通り過ぎる
だから 事実をそのときの事実として受け入れるだけ

ただ 優しくても冷たくても美しくても汚くても好きなものは信じる
嘘じゃないことを、じゃなくて

きれいなものを決してねじ曲げたりはしない
それが自分の意志だから

突然思い出すのです
線路や高速道路や川や海
そういう繋がるものにいつも見とれていたこと

どんなにしんどくても生きていて
そして笑える

続いてく

から
楽しい方がいい きっと


自由詩 _ Copyright 香椎焚 2015-10-19 09:49:14
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