あなた達の幸せを願う
小川麻由美

ベッドの上を
痺れた四肢で
這いずり回る

時間は進んでいるようだ
カチカチとなる時計
この音が私の命を蝕む

私の寿命は短いと
悪びれもせず言い放たれた
怒りの感情はなかった
何故か 怒りの感情はなかった

私の心を踏みにじる者がいた
底に犬の便が付いた靴でもって
怒りの感情が湧いた
何故か 怒りの感情が湧いた

詩って何だろう
詩作の衝動

私を落胆させる封筒を
2通持っている
主治医さん 早くない?

私は混濁した意識の中 徘徊した
病院の日でもないのに
病院へ行こうとした
タクシーで行こうとした

私はあなただと認識出来なかった
私とは意思の疎通は不可能

記憶がない
記憶ほど扱いの難しいものが
他にあるだろうか

旦那から聞かされて
私はブラックな笑い方をした
それ以外の反応なんて出来やしない

私も戦っている
弟も戦っている
旦那も必死

嗚呼ここまで来てしまった
引き返すことは出来ない
吐き気と杖でよたよたする

そんな私を愛し心配する
かけがえのない存在がいる

時が経ったら
自分の子をもうけてください
ただただ 旦那達の幸せを願う


自由詩 あなた達の幸せを願う Copyright 小川麻由美 2015-10-18 18:54:14
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