家族
葉leaf




どこまでも遠く悲しみを放り投げる
悲しみが転がる深い山の中で
家族はその悲しみを拾い上げ
小さく千切っては美しく燃やす
僕と家族は気づかずに追いかけっこ
家族は僕の表情を絶えず改造している

どこまでも深く海底に憎しみを沈めても
海底のマグマが固まる場所で
家族はその憎しみを信頼し
海底に丁寧に刻んで残す
僕と家族は同じ火から生まれた
家族は僕の会話の隅々で破裂する

どこだか分からないように秘密を消し去った
秘密はもうどこにも存在しない
家族はしかし秘密の足跡を見つけては
小さくうなずいて足跡を消していく
僕と家族は互いに負け続け
家族は僕の意志を駆動する暗黙の火花だ


自由詩 家族 Copyright 葉leaf 2015-10-15 06:22:00
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