崖のうえ
はるな


崖のうえで
いまやっと
生きている気持がする
はだかで
つめたく嬲られて
ごつごつした岩に立って

穴だらけのひふを脱いで
ねばっこい血管を捨てて
さわがしい心臓も
置いてきてしまった

いまやっと
ものを見ている気持がする
思想を捨て
眼球を捨てて
崖のうえで
うすぼんやりと立って
裏と表のかさなるところをさわっている





自由詩 崖のうえ Copyright はるな 2015-10-15 06:13:42
notebook Home 戻る